認知症は「役割の喪失による、自尊感情の喪失である」とある人が言った。

ということは、
「失なわれた役割を取り戻し、自分らしさを取り戻せば…」

『ツナグ』という映画で、
「最上のわざ」という詩が紹介されている。
老いてもない、いや、老いたからこそできる
「最上の業」がここにある。

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

この世の最上のわざは何?

楽しい心で年をとり

働きたいけれども休み

しゃべりたいけれども黙り

失望しそうな時に希望し

従順に、平静におのれの十字架をになう

若者が元気いっぱいで神の道をあゆむのを見つけても妬まず

人のために働くよりも、謙虚に人の世話になり、

弱って、もはや人のために役たたずとも

親切で柔和であること。

老いの重荷は神の賜物

古びた心に、これで最後の磨きをかける

まことの故郷へ行くために

おのれをこの世につなぐくさりを少しづつ

はずしていくのは、真にえらい仕事。

こうして何もできなくなれば

それを謙遜に承諾するのだ。

神は最後に一番よい仕事を残してくださる。

それは祈りだ。

手は何もできない。けれども最後まで合掌できる。

愛するすべての人の上に、神の恵みを求めるために。

すべてをなし終えたら、臨終の床に神の声をきくだろう。

「子よ、わが友よ、われ汝を見捨てじ」と。

『人生の秋に』 ヘルマン・ホイヴェルス著より