「ちいろば」は2003年に産声をあげました。この「ちいろば」という名称は、「小さなロバ」のことで、イエス・キリストがロバの子を用いたところから付けられました。通常権威あるものは、エルサレムに入場するときには立派な馬に乗ってやってきます。しかし、神の子であるイエスキリストは、あえて非力な小さなロバに乗って入場したのです。当時、「ロバ」は、「愚者」の換喩としてイメージされていました。神さまは、この世では価値のないと見られる愚かな「小さなロバ」を顧みて、用いてくださる、いや、大切なものとして共に歩んでくださることを伝えたのです。とかく知的な能力で人の優劣の序列を判断しがちな私たちに、「小さなロバ」を「大切な存在」として共に生きることを教えられます。
私たちはどのような人間観をもっているでしょうか。それは「ちいろば」の方々と臨床の場で向き合う私たちが問われていることです。私たちはそこに「病んだ自分」「愚かな自分」「表層的にしか人を見ていない偏った自分」を見るのです。「ちいろば」のみなさんは、私たちの自分を見る「鏡」なのです。
クリスチャンで「知的障害者福祉の父」と呼ばれた糸賀一雄さんという人が、「知的障碍者」の方々についてこう書いています。
「この子らはどんな重い障害をもっていても、だれと取り替えることもできない個性的な自己実現をしているものである。人間と生まれて、その人なりに人間となっていくのである。その自己実現こそが創造であり、生産である。私たちの願いは、重症な障害をもったこの子たちも立派な生産者であるということを、認め合える社会をつくろうということである。『この子らに世の光を』あててやろうという哀れみの政策を求めているのではなく、この子らが自ら輝く素材そのものであるから、いよいよ磨きをかけて輝かそうというのである。『この子らを世の光に』である。この子らが、生まれながらにしてもっている人格発達の権利を徹底的に保障せねばならぬということなのである」(「糸賀一雄著作集Ⅲ」より)
「ちいろば」で毎週土曜日に泊り交わった大学生のHさんが言いました。
「私は彼らから、人を誰も差別することなく、笑顔で受け入れる大切さを学びました。私も彼らのようになりたいと思いました」
私たちは「ちいろば」の方々と共に生き、『この子らに世の光を』ではなく、『この子らを世の光に』できる支援者でありたいと願います。そのときはじめて、私たちは人格が発達し、「平等」や「連帯」「独自性(ユニーク)」を生きる大切さをかみしめることができ、「経済的な豊かさ」や「知的能力の競争」から解放され、「共に生きる社会」の実現、「神の国」へ進むことができるのではないでしょうか。このようにしてこそ、彼らの存在する意味が見えてくるのです。
活動の目的 | 地域社会のなかで生活し、個性的な人生を過ごされている「障碍者」の人たちである「入居者」の「人生」と「生活」を支援します。 |
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活動内容 |
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虐待予防 |
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防災 |
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会議 |
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研修 |
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場所 | 川崎市中原区下小田中1-19-21 TEL:044-752-7168 |
職員 | 管理者兼サービス管理責任者:福正 大輔 |
入居者数 | 32名(2023年4月現在) |
利用料金 | 月額約97.000円~約117,000円(家賃5~7万円前後(部屋により)、光熱費1万円、食材料費3万円円、日用品費等7千円)
国や市から家賃補助金が入る方もいます。(国10,000円、川崎市27,000円等) |