「人間は、自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない。しかしそれは考える葦である。(中略)われわれの尊厳のすべては、考えることのなかにある。」(パスカルの「パンセ」)

私たちは改めて「弱いまま」からはじめる。
なぜなら上記のように、そこから思考することで気づく人間の尊厳と成長発達があるからだ。

今年ホッとスペース中原は「パリアティブ・ホーム」という新しい場所が完成する。
「パリアティブ」とは「和らげる」「緩和する」という意味で使われている。でも源意は「上着を脱ぐ」「コートをかける」ことである。
私たちは「生老病死」を解くことはできない。できることはただ「自分が上着(コート)を脱ぐこと」しかない。確かにコートを脱ぐ私たちは、寒さや犠牲を払う。しかし、それによってのみ、温められ、思いやりを受けることで相手は苦しみを緩和し、考えることが生まれる。そこから初めて相手は「生きる力」を得る。そうすることで上着を脱いだ人だけが味わえる「仕合せ」がある。これを「共生社会」「神の国」という。

ゆえにホッとスペース中原は今年も「弱さを受け止める」組織として立つ。
関わる相手は「消費者」ではなく、「思考する者」として成長発達する者である。たとえその人が認知症の方でも、知的障碍の方でも、生きづらさを抱える方でも、過去に法を犯した方でも、死の際にある方でも、依存症の方でも、「人間である」ことを忘れまい。
そして私たちも同じ地平線に立っているものとして、彼ら彼女たちによって「人間となる」者でしかないことを自覚して…。

新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

(この投稿は1月1日に書いたものを思い出して書いた。実は書いて完成した文章が消えてしまったのだ。年始に書くのはあきらめていたが奮起して思い出して書いた。が、今一つ。涙・・・)