遅ればせながら、、、

新年おめでとうございます。
年が明けて早くも半月が経ち、新たな歩みが始まっています。

昨年末、
私たちはNさんを天に見送った。

その昔、知的障害者は「精神薄弱者」「知恵おくれ」と言われ、社会や地域から排斥され閉鎖的な生活を強いられる時代があった。

Nさんも社会や地域に殆ど出ることなく、ひっそりと家の中で育てられ、年をとった、今で言う知的障がいをお持ちであろう方だった。そんなNさんは利用者の紹介でホッとスペース中原デイサービスに来て、社会に触れ沢山の人に出会い、人と人との触れ合いを経験した。
そして出会った頃の強張った表情は和らぎ、出会う人々を穏やかにし、癒す笑顔を見せるようになった。

Nさんはご家族の支えもあり、亡くなる前週までデイを利用し、住み慣れたご自宅で、年末にひっそりと息を引き取った。

息を引き取る数日前、今年の感謝とお別れの挨拶を伝えに伺った際、Nさんは
「そうだね。大丈夫、大丈夫。」といつもと変わらない笑顔を見せた。
その笑顔と言葉から「来年もきっと大丈夫だ」と私は勇気と希望を受け取った。

かつて社会から排斥された障がい者に、そして皆が見ぬふりしようとする死に行く人から、年の終わりに、
命の崇高さと、かけがえない存在の価値を再確認する機会を頂いた。

今年2019年、
ホッとスペース中原は新しい場所へ移動する。デイサービスも新天地となる。

たとえ、老いや障がい、病いに苦悩を抱えていたとしても、そこに集うすべての人が、限りある命を与えられた、かけがえのない存在として、その人らしい人生を全うできるように、ホッとスペース中原は、今年出会う方々の歩みに伴っていきたい。

本年も、ホッとスペース中原デイサービスをよろしくお願いします。

〜〜〜〜〜〜〜〜

わたしたちは、障害のある人々から自分にも限界があることを気づかせてもらう。目の見えない人々からは自分が彼方を見ていないことを、心配に打ちひしがれている人々から自分も恐れを抱いていることを、貧しい人々からは自分も何も持たないものであることを気づかせてもらう。
そのように、年老いた人々からわたしたちは、自分も年をとりつつあることを気づかせてもらうのである。

それだからこそ、わたしたちは、人間のあらゆる苦悩、あらゆる成長と内的に連帯して、人生をほんとうに深く経験していけるのである。この内的な連帯が基礎にあってはじめて、人間の共同体はほんとうのケアがおこなわれ、人が真に癒されるところとなる。

年をとることは人間が必ず通っていく大切な過程の1つであり、これを否定することは大きな過ちでしかない。自分が老いていくことを発見、あるい再認識した人はみな、なにより幸いなことに、自分の、そして同行の仲間であるすべての人の生を豊かにすることができる。

「闇への道 光への道」ヘンリ・ナウエン著