ある人が
入院した。

その病室を訪ねた。

無言で彼を車イスに乗せ、
無言で手を引っ張り、
無言で手に巻いたバーコードを
機械で読み取った。

オレは切れた。

この人はモノじゃないんだよ。
人だぞ。
俺を支えている、
敬愛してやまない恩人だぞ。

大きな大病院で
大人げなく切れた。

雨の日の夕暮れ。

俺だけは、
あなたを見捨てない、
そう改めて誓った。

がんばれ、
入院しているあなた。